高齢化率が90%以上の限界集落を中心とした必然から生まれた山間の訪問診療です。
2014年、普通の山里の民家に診療所を移転するところから始まりました。それまでは50年以上公立の診療所であったところを民営化していましたが、とてもいろいろなことがあり、さらに山間に入った民家を改造して移転しました。
地域の人の必要と協力、ついてきてくれるスタッフがあればこういうことも可能なのです。
2014年、普通の山里の民家に診療所を移転するところから始まりました。それまでは50年以上公立の診療所であったところを民営化していましたが、とてもいろいろなことがあり、さらに山間に入った民家を改造して移転しました。
地域の人の必要と協力、ついてきてくれるスタッフがあればこういうことも可能なのです。
ここが山の中の民家を借りた在宅支援診療所
第1往診カバンの中身
第1の往診カバンの中身はポータブルエコーVscanとドクターソフト(電子カルテ)の入ったノートPC、モニターECG+SPO2機能+体温計機能のあるChechme pro、血圧計などです。
病院では病気を見つけてもらいに患者さんが来るので医師もその準備・心構えを整えています。
しかし、在宅医療では定期訪問で訴えもなくこちらの心構えもない中から、病気を見落とさないことも要求されます。
そういう場合最も大事なことは気軽に検査すること、検査する気になる重くない器械を携帯していることです。
実際のポータブルエコーVscanの用途を頻度の多い順にあげると、
肝静脈から脱水の程度を判定、
胆のう炎、
尿管結石(腎盂拡張の有無)、膀胱炎
胃腸炎の程度
胸痛時の心スクリーニング、
打撲転倒の際のFAST(Focused assessment sonography for trauma)→参考PDF
消火器外科が専門だったので腹部の疾患全体
などが挙げられます。
もう少し精査が必要なら車に積んであるGEのエコーを持っていきます。
ECGもはじめはCheckmeの携帯モニター電極で気軽にします。何故なら訴えの少ない心筋梗塞も高齢者の特徴だからです。この記事を書いている今日もデイサービスで昼食を食べないため念のため呼ばれて往診した93歳のおばあさん、一見元気そうで血圧もSPO2も正常でしたが、モニター電極を順次張り替えてST上昇を捉えることができました。
次に多いのが房室ブロックの検出です。

第2往診カバンの精査用エコー
精査が必要な時は車に積んである精査用エコーを持ってきます(コンベックス、リニア、心の3つのプローブを適宜つけます)。
心、腹部の精査の他、特にIMTを含む血管のエコー、肋骨や橈骨遠位端、足関節の骨折診断などに重宝します。
第3と第4の往診カバン
左の黒い往診カバンは約20年前和歌山県立医大の第2外科から兵庫県に帰ることになったとき、大学病院の看護師さんたちが記念にくれたものです。非常用の内服薬を入れています。
右は釣り道具屋で仕入れたカバンです。釣り道具は防水が必須で軽いことが条件なので往診用にもピッタリです。
救急注射薬や予備の輸液・物品を入れています。
これらは普段車の中に入れており、高温・低温にさらさないように訪問が終わると診療所に持って入り使ったものはその時補充します。
薬品類はタックルボックスに
薬品類は軽くて頑丈な釣り用のルアーボックスに入れています。
実際の携帯薬品の一例
内服・外用薬
ケフレックス、レボフロキサシン、クラリスロマイシン、カルボシステイン、カロナール、ピーエイ、バラシクロビル、ラベプラゾール、ビオフェルミン、プレドニン、フェキソフェナジン、タミフル、甘草芍薬等、五苓散、麻黄附子細辛膏、黄連解毒湯、ニトロペン舌下錠
スチブロン軟膏、ルリコン軟膏、アシクロビル軟膏、ホクナリンテープ、メプチンエアー、イナビル注射薬
アドレナリン注0.1%、サクシゾン100注、ソルメドロール125、リンデロン注、セルシン注、エホチール注、硫アト注、ラシックス注、20%ブドウ糖注、生食100ml、ソルアセトF500Ml、ロセフィン点滴静注用、チエナム筋注用、レボフロキサシン点滴静注用
往診先 その1.兵庫県の最高峰氷ノ山のふもとへ 片道15㎞
途中あゆ公園でマーキング
往診先 その2.元鉱山で栄えた町 今はほとんどが独居、90歳以上も2人